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最近のトレンドは堕落である。
自分の中途半端な堕落が嫌で、いけるところまでいってしまいたいという欲望が止まらなかった。
そこで堕落することを穴を降下する事に例えてみると、途中で横穴に出ることを堕落からの脱会だとできる。横穴は探すのが難しい(降下するスピードもあるし、暗いしというわけだ)。その作業を諦めて最下層まで下がり、もう下がれないところまで行き、そこから横穴に出ることの方が楽なのだ。それがさっきの、いけるところまでいってしまいたい、ということだ。
しかしポイントは最下層に横穴があるということである。その前提を規定している時点で楽をする気満々な自分がいるということだ。これによって自分がすでに堕落の極みにあることを確認できたので、自分の気は晴れてスガスガしい気分だ。
ついでに思ったのは、この落下(後で上に戻ったりすることは不可能)というのは時間の経過に例えやすいということだ。あそこで横穴に入っていたら、と思ったりそうしていた場合を予想してみるがどうしてもその選択肢に戻ることはできない。すべての横穴は並行世界であり、可能性の一つでしかない。陳腐な表現になってしまうが、人生はその横穴(選択肢)を決めていくという行動の連続であるのではないか。そしてどの穴にしろ行き止まりが人生の終わりということである。